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“メンタル”と“マインド”の違い

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“メンタル”と“マインド”の違い

“メンタル”と“マインド”の違い

2022/11/25

“メンタル”と“マインド”の違い

 

「よく、メンタルを強くするにはどうすればいいですか?」という質問をよく頂きます。

本当にありがたく思います。正直、いつも「ん〜」と言葉を詰まらせてしまうのも事実です。

 

長年、スポーツの世界に従事していると必ず“メンタル”という言葉、そしてその重要性をよく見聞きします。私自身も「メンタルとは何か?」とか「メンタルを高めるためにはどうすれば良いのか?」などについて大学院に通い、そして応用スポーツ心理学を学び直したこともあります。しかし、探れば探るほどメンタルという言葉の意味とその使われ方に対して、違和感が増すばかりでした。

 

その理由の一つがメンタルに対する意味づけ(解釈)にあるかと思います。

一般的ではありますが、メンタルを「精神的なもの」と意味づけてしまうと、どうしても「精神力を高めるためには」とか、「精神力を鍛えるためには」などに思考が飛んでしまい、解決するためには「頑張る」「根性」「努力」が最も有効な手段だと認識してしまいがちになります。そのために大人は、選手や子供に対して「もっと頑張りなさい」「まだまだ努力が足りないよ」「やっぱり根性不足だな」などの言葉掛けをしてしまいます。

スポーツの世界でも、「強い信念を持って試合に臨みました」と選手がコメントすると「メンタルが強いですね〜」と周りは言い、「私が必ずシュートを決めるという思いでコートの立ちました」と選手がコメントすると「メンタルが強いですね〜」と言い、「淡々と、しかしハードなプレーをする選手」を見て「メンタルが強いな〜」と思い、メンタルの使い方が時と場合と人によって、その意味合いも様々であると感じさせられます。しかし、言わんとすることがわかることもこのメンタルという言葉の多様性を物語っているかとも思います。

 

一般的にメンタルとは「心や精神の状態そのもの」のことを指します。

その意味合いから、メンタルが強い人のことを心が強い・精神力が強い、逆にメンタルが弱い人のことを自信がない人・すぐ心が折れる人・落ち込む人、とイメージされています。

では、心、そして精神とは、そもそも人間の何を表している言葉なのかという疑問が湧いてきます。一般的には、体や技術、以外の見えないものの事を心と精神でカバーしているような感じがいたします。

例えば、「技術はまだまだ未熟ですが、一生懸命、最後までぶれずにやり遂げました」というコメントを聞くと、この人は「メンタルが強い」という印象を持つ人がいるかと思います。このことからも、最後までやり遂げられる人はメンタルが強くてすごい人で、その他の人は最後までやり遂げられないメンタルの弱い普通の人という解釈になります。大雑把な言い方をすると、日本国民はメンタル弱い国民という前提となるわけです。ある意味、国民性を表現した言葉になるのかもしれません。

また、時々自己肯定感を示す発言をした選手に対して「ビッグマウス」と揶揄する表現をすることがあります。そして、この公言した人のことをメンタルの強い人と周りは評します。これは日本の文化である「不言実行が美である」もしくは「謙虚に反している」という認識がどこかにあるのかとも思いますが・・・。

いずれにせよ、メンタルという言葉に対しての捉え方・使い方が広義であること、そしてその人特有のものである、かつ不変的なイメージを持たれていることが私の疑念として上がっているところになります。

そこで、メンタルに変わる言葉はないのかと探したところ“マインド”という言葉と出会いました。その知るきっかけが、脳科学になります。(詳細は別ブログをご参照下さい)

 

ではここで、メンタルとマインドの違いについて紐解いてみたいと思います。

まずは、辞書引きしてみると、

<メンタル>
・精神的な、心理的な、という意味。
・精神科、心療内科などの心に関する医療機関を意味する俗語。

つまりメンタルとは、心や精神を表す言葉、心の状態・心の調子に関する言葉であります。

<マインド>

・心、理知、感覚、意識、思考。

・好み、何かしようという意向や考え。

 つまりマインドとは、ある物事に対する意識、特に個人や集団が何かをしようする意識をさす言葉であり、信念や価値観、そしてその思考を意味する言葉でもあります。

 

 次に、メンタルとマインドの言葉の使用についてみていきたいと思います。

 まずはメンタルから紹介していきます。(一例です)

・豆腐メンタル・・・その名の通り豆腐のように柔らかく、崩れやすい心のこと

・メンタルブレイク・・・ショッキングな出来事で、精神が壊されている状態のこと

・メンホー・・・メンタル崩壊のこと

・メンタルヘルス・・・心の健康を保ち、心身ともに充実した健康状態になること

・メンタルクリニック・・・精神科や心療内科を標榜する診療所のこと。

メンタルが付く言葉はほかにもいろいろあります。大半が精神に関連することを表しています。また、「メンタルがやられる」というのは、精神的にダメージを受ける、という意味で使用されます。

ちなみに、メンタルトレーニングとは、精神力を鍛えるという意味ではなく、心理的スキルの習得のことを言います。お間違えのないように。

 

 次にマインドについて紹介していきます。(一例です)

・ビジネスマインド・・・成果を仕事で出すための心構えをいう言葉。

・マインドコントロール・・・考え方や思考をコントロールすることをいう言葉。

・マインドマップ・・・トニー・ブザンが提唱した思考の表現方法。

・マインドフルネス・・・意識を現在の自分自身に集中することや、そのための瞑想を表現した言葉。

*マインドフルネスとは、「フルネス」の意味の「いっぱいの」「満ち溢れるほどの」という「full」に、分詞・形容詞などの状態や性質などを表現する抽象名詞を作る接尾辞の「-ness」がプラスされたもので、「満ちている」という意味になります。

・マインドセット・・・行動や判断の基準とそる考え方や思考(思考態度・物の見方)。

 

 イチロー選手は、「なにかをしようとした時、失敗を恐れないで、やってください」とコメントしています。そのイチロー選手が活躍したのは、「恐れずにチャレンジする」という「マインドセット」があるためであるともいわれています。

その人のマインドセットが行動を起因しているとお考えください。個人の価値観がマインドセットを形成し、その人のパワーマンス発揮のベースとなっているということです。

 

 最近では、このマインドセットという言葉がビジネス界でもよく使用されるようになりました。このマインドセットとは、もともとは心理学の専門用語であり、スタンフォード大学の心理学者であるドゥエック教授が提唱したことで、ビジネス用語でも使われるようになりました。

 ビジネスの世界では、マインドセットを大きく二つに分け意味づけしています。

  • 成長型マインドセット=挑戦的思考

成長型マインドセットとは、「自分の能力は、経験や努力次第で伸ばせる、成長できる」という考え方です。困難や複雑な状況に陥ったときでも、肯定的な思考が生まれやすく、不確実性が高まる現代ビジネスシーンで、とても重要だといわれています。

  • 停滞型マインドセット=保守的思考

停滞型マインドセットとは、「自分の能力は、努力しても変わらない、固定的なものだ」という考え方です。壁にぶつかってしまうと、否定的な思考が生まれやすいため、保守的になる、現状維持を固辞しやすい、変化や挑戦を恐れて不正を働きやすくなるともいわれています。

 その他に企業のマインドセット・組織のマインドセット・個人のマインドセットなど、社会人として必要な指針としてマインドセット研修を行う企業が増えてきています。

 その背景としては、IT化が進み、テクノロジーの進歩や、地球規模での気候変動など、ビジネス環境の不確実性が高まっているなか、主体的に挑戦し続ける人材が求められているためだといわれています。やはり、言いなり社員、人任せ社員では厳しいということです。

 

 以上のように、メンタルとマインドの意味づけやその使用の仕方を解説して参りましたが、心の状態を示すメンタルより、心のあり方を網羅したマインドの使用の方が人を傷つけない気が致します。例えば、「メンタルがやられた」という言葉を耳にすることがありますが、「マインドがやられた」とは言いません。

現在、人材育成に従事されている方も選手・生徒そして職員に対して、メンタルを高めるためのトレーニング(心理的スキルの習得)を実践させるより、マインドセットの確立を目指すセッションの方が、その人の心や精神を尊重する形で研修(教育)が進められると思います。

 「いじめをなくしましょう」という言葉と同じで「メンタルを強くしましょう」という言葉だけでは現状解決は難しいかと思います。

 メンタルトレーニンのような特別なスキル習得ではなく、日常の生活からでも習得できるマインド育成にシフトチェンジするべきだと私は考えます。

 

“私はBrain&Mind Coachの森 億です”                         fine lab.代表 森 億

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