指導者向けスポーツコーチング:今、部活動を考える・・・その11 子育て:家庭で何を教育する?・・・・②
2022/09/26
指導者向けスポーツコーチング:今、部活動を考える・・・その11 子育て:家庭で何を教育する?・・・・②
家庭での教育を考えたときに、一般的には「しつけ」をイメージされるかと思われます。しかし、この「しつけ」の概念も各家庭さまざまなであり、保護者一人ひとりの価値観が大きく影響しています。価値観とは、ある意味、その人の「生き様」に値します。そのため、今まで生きてきた保護者の習慣が、子供に対してストレートに影響を及ぼしてきます。
脳内には「ミラーニューロン」というモノマネ神経細胞があるため、保護者の話し方・歩き方・座り方・食べ方、もしくはマナー、そして大事にするものまでを子供が無意識のうちにコピーしてしまいます。怖いのは、人に対する悪口や陰口、そしていじめの感覚も同様にコピーされてしまいます。
保護者として、子供のへの関わりにおいて考えてほしいのは「社会の中で生きていることを認識させる」という教育感です。
人間は一人では生きていけません。大きい小さいはありますが、必ず自分の周りには社会が存在します。その社会の中で生きていく術(価値観)を育んでほしいのです。
教育現場において、保護者の発言の中に「うちの家庭では」という文言をよく耳にします。もちろん各家庭での教育観を重視することは必要なことだとは思いますが、しかし学校や地域の教育感も同時に尊重してほしいと願います。それぞれの家庭が自己の家庭のことだけを言い出したら、社会が成り立たないということを知ってほしいものです。
「言いなりになってください」と言っているわけではありません。
社会に向けて、自己主張する力を育むのも教育ですが、同時にその環境を受け入れる、そして融合させる力を身につけさせるのも教育だということです。
その前者か後者か判断させる価値観を育むのが教育であるということです。
資本主義が定着し、令和に入り収入の上げ方が本当に多岐に渡るようになってきました。と同時に「お金持ち」=「偉い」=「幸せ」が、世間の方程式かのごとく認知されている感があります。残念です。この社会の価値観を育むのも大人の役目なのですが。
しかし、昨今のテレビを見ても若者に迎合している番組が目立ちます。ということは、「子供が大人の意見を聞く<大人が子供に意見を聞く」が日常化しているのでしょうか。現実、教育現場においても子供の力を引き上げるという感覚ではなく、子供のレベルで物事をスタートさせるという考えが主流になってきています。
その証拠に現在の教育では、「わかりやすい授業」が子供からも大人からも求められるようになり、先生も「良い先生」と言われたいがために、処理流動性の高い授業を展開するようになってきています。そのための研修会が全国各地で行われております。子供が処理流動性の高いものに触れすぎると、長時間作業や長考などのじっくりとした作業やじっくりと考えることをしなくなります。
ここで「処理流動性」について解説していきたいと思います。馴染みのない言葉かもしれませんが、この機会に覚えていただけると良いかと思います。要約しますと「情報に対して脳が処理しやすいか否か」ということになります。言い換えるとわかりやすいか、わかりにくいかです。わかりやすい=処理流動性が高い、わかりにくい=処理流動性が低いということになります。わかりやすいということは、短めの言葉で端的に伝えるということで、伝える側のスキルが高くなければなりません。逆に聞き手には解釈や理解する力が必要ないといということになります。
広告業界で「キャッチコピー」という言葉が生み出されましたが、資本主義のこの世の中、「キャッチコピー」が命綱かのように言われています。政治家においても民衆の心を掴むためにキャッチコピーをスタッフ総出で考えます。古くは「日本列島改造論」、そして「郵政民営化」などなど、今は閣僚が変わるたびに名前をつけてアピールしようとしています。アメリカでは、トランプ大統領が処理流動性の高い言葉を用いて民衆を惹きつけておりました。これも戦略ですが、民衆は戦略とは気付いていません。それは、社会が処理流動性の高いものを求め過ぎているからです。
気付いてほしいのは「わかりやすい」ということは、聞き手の能力は高まらないということになりますし、わかりにくいことに対して拒否反応を示す子供を育てていることになります。学校での授業においても「わかりやすい先生」「わかりにくい先生」が色分けされることがあります。わかりやすい先生は、視覚をうまく利用します。言葉(文字)を可視化させて授業づくりをします。「百聞は一見にしかず」です。説明せず、見せるのです。準備に時間がかかりますが、理解までが早くて済みます。しかし、これでは文字を自ら可視化する力が生徒に身につきません。言い換えれば、解釈ができない・理解できない生徒が増えるということになります。授業に興味を示してもらうために、導入段階で使用するのは良いですが、多投すると生徒に力が身につかないことになります。やはり、場面によっては時間をかけて取り組む作業的なワークも必要なのです。
そのためにも、関わる側が目の前の達成感だけを味合わせる仕掛けだけではなく、時間をかけなければ解決しない仕掛けも準備する必要があるのです。
目先の評価だけを期待する大人では子供は育ちません。問題に気づき、そして解決する力を育むのが大人の役目なのです。自分の子供だけを守るのが大人の仕事ではないということです。
「何を学んでほしいのか?」「何を身につけてほしいのか?」を一人ひとりの大人が真剣に考えて、そして実践するための力を、社会に属する大人が構築していく必要があります。
そのためには、リーダーが必要です。
その11 家庭で何を教育する?・・・・② 終わり
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