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fine式「強い選手をつくるためのトレーニング」

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fine式「強い選手をつくるためのトレーニング」

fine式「強い選手をつくるためのトレーニング」

2026/07/22

fine式「強い選手をつくるためのトレーニング」

〜逃げない選手ではなく、逃げたい自分に気づき、戻り、挑める選手を育てる〜

スポーツにおける「強い選手」とは、何があってもブレない選手ではありません。

人間である以上、不安になります。

緊張します。

ミスをすれば悔しくなります。

強い相手を前にすれば、怖さを感じることもあります。

そして、ときには逃げたくなります。

fine理論では、この反応そのものを「弱さ」とは捉えません。

人間の脳には、自分を守る機能があります。

失敗するかもしれない。

怒られるかもしれない。

評価を下げられるかもしれない。

仲間に迷惑をかけるかもしれない。

そのような危険を感じると、脳は無意識に、

逃げる。

固まる。

安全なプレーを選ぶ。

自分で決断しない。

という防御反応を起こします。

したがって、強い選手を育てるために必要なのは、

「怖がるな」

「逃げるな」

「気持ちで負けるな」

と叱ることではありません。

必要なのは、自分の防御反応に気づき、自分を整え、するべき行動へ戻り、もう一度挑める力を育てることです。

fine式「強い選手をつくるためのトレーニング」は、次の五つの力を育てることを目的とします。

  1. 気づく力
  2. 受け止める力
  3. 整える力
  4. 選び直す力
  5. 挑み直す力

この五つを段階的に育てることで、選手は自分の力で立ち直り、自分の意思で困難に挑めるようになります。

1.トレーニングの目的

fine式トレーニングの目的は、不安や恐怖を完全になくすことではありません。

また、ミスをしない選手をつくることでもありません。

目指すのは、不安があっても、するべきことを実行できる選手です。

強さとは、無反応になることではありません。

情動が動いても、自分を見失わないこと。

ブレても、するべき場所へ戻ること。

失敗しても、事実を受け止めること。

そして、再び挑戦することです。

したがって、トレーニングでは結果だけを評価しません。

シュートが入ったか。

相手を止められたか。

試合に勝ったか。

それだけではなく、

逃げたい反応に気づけたか。

身体を整えられたか。

必要な行動を選べたか。

失敗した後に戻れたか。

もう一度挑めたか。

という「行動の過程」を評価します。

2.fine式「強さの5段階」

強い選手になるためのプロセスは、次の五段階で整理できます。

気づく→受け止める→整える→選び直す→挑み直す

第1段階 気づく

自分の中で、何が起きているのかに気づく段階です。

第2段階 受け止める

怖さや不安を否定せず、現在の自分の状態として認める段階です。

第3段階 整える

呼吸、姿勢、視線、言葉を使って、身体と意識を現在へ戻す段階です。

第4段階 選び直す

情動に任せた行動ではなく、目的に合った行動を選ぶ段階です。

第5段階 挑み直す

失敗の可能性があっても、自分から一歩前へ出る段階です。

この五段階を繰り返すことで、選手は自分自身を立て直す方法を身につけます。

トレーニング1:「逃げのサイン」を知る

強くなるための最初のトレーニングは、自分が逃げ始めるときのサインを知ることです。

逃げる行動は、突然起きるように見えます。

しかし、その前には、身体や思考に小さな変化が表れています。

たとえば、

  • 呼吸が浅くなる
  • 心拍数が上がる
  • 肩が上がる
  • 顎や手に力が入る
  • 足が止まる
  • 視線が下がる
  • 相手との距離を取る
  • 声が小さくなる
  • ボールを要求しなくなる
  • 安全なプレーばかり選ぶ
  • 仲間や指導者の表情を気にする
  • 自分で決めずに指示を待つ

などです。

選手によって、逃げのサインは異なります。

そのため、練習や試合の後に、次の三つを記録します。

①身体に何が起きたか

呼吸、心拍、肩、足、視線、声、身体の力みなどを振り返ります。

②頭の中にどのような言葉が出たか

「失敗したらどうしよう」

「怒られる」

「相手が強すぎる」

「自分には無理だ」

など、頭に浮かんだ言葉を記録します。

③どのような行動を取ったか

パスを選んだ。

相手から離れた。

ボールを要求しなかった。

声を出さなかった。

指示を待った。

など、実際の行動を確認します。

記録例

・身体:呼吸が浅くなり、足が止まった。
・思考:「抜かれたら怒られる」と考えた。
・行動:相手との距離を取りすぎた。

このように整理することで、無意識だった防御反応が見えるようになります。

気づくことができなければ、整えることも、修正することもできません。

トレーニング2:「事実」と「解釈」を分ける

逃げる反応が強くなると、人間は事実と自分の解釈を混ぜて考えます。

たとえば、

・「相手が自分より大きい」これは事実です。

しかし、「自分では絶対に勝てない」これは解釈です。

・「最初のシュートを外した」これは事実です。

しかし、「今日はもう入らない」これは解釈です。

・「試合に負けた」これは事実です。

しかし、「自分たちは弱いチームだ」これは解釈です。

 

トレーニングでは、出来事を次の四つに分けます。

①事実

実際に起きたこと。

②解釈

その事実に対して、自分が考えたこと。

③情動・身体反応

怖い、不安、悔しい、身体が固い、呼吸が浅いなど。

④行動

下がった、パスをした、声を出さなかった、挑まなかったなど。

事実:相手に2回連続で抜かれた。
解釈:もう自分では止められない。
情動:怖い、不安、足が重い。
行動:相手との距離を広げた。

ここまで整理すると、修正すべき部分が見えてきます。

相手に抜かれたという事実は変えられません。

しかし、「止められない」という解釈は見直すことができます。

そして、

相手との距離。

身体の向き。

足の位置。

仲間との連携。

など、次の行動を修正できます。

強い選手は、失敗を自己否定の材料ではなく、修正のための情報として使います。

トレーニング3:「戻るルーティン」をつくる

試合中は、長く考える時間がありません。

そのため、ブレたときに自分を戻す短いルーティンをつくります。

fine式では、次の三つを一つのセットにします。

呼吸+言葉+行動

①呼吸

息を長く吐きます。

吸うことよりも、まず吐くことを意識します。

長く吐くことで、身体の過剰な緊張を下げ、現在へ意識を戻しやすくします。

②戻る言葉

自分を現在へ戻す短い言葉を決めます。

  • 戻る
  • 前へ
  • 見る
  • 一歩
  • 大丈夫
  • するべきこと

言葉は、短く、すぐに思い出せるものにします。

③戻る行動

言葉だけで終わらせず、必ず身体行動を一つ行います。

  • 守備へ戻る
  • 胸を起こす
  • 足裏を床へ押す
  • 相手を見る
  • 仲間に声をかける
  • 一歩前へ出る
  • ボールを要求する

シュートを外した。

  1. 息を長く吐く
  2. 「次」と言う
  3. 全力で守備へ戻る

相手を見て怖くなった。

  1. 息を吐く
  2. 「前へ」と言う
  3. 一歩だけ距離を詰める

大切なのは、気持ちが整うまで待たないことです。

行動を先に変えることで、情動を整える。

この順番を身につけます。

トレーニング4:「一歩前へ」の練習

逃げる選手に、いきなり大きな挑戦をさせると、防御反応がさらに強くなる場合があります。

そこで、挑戦を小さく分けます。

目標は、恐怖をなくすことではありません。

怖さがある中で、一つの行動を選ぶことです。

レベル1 安心できる状況で挑む

慣れた仲間や、難易度の低い状況で挑戦します。

たとえば、

  • フリーなら必ずシュートを打つ
  • ボールを3回要求する
  • ディフェンスで一歩前へ出る
  • 練習中に一度、自分から質問する

レベル2 少し難しい相手へ挑む

少し強い相手を設定し、挑戦するプレーを一つに限定します。

  • 一度は1対1を仕掛ける
  • 一度は相手の正面へ入る
  • ミスの後に、すぐ同じプレーへ挑む

レベル3 時間や得点の条件を加える

  • 残り10秒
  • 1点差
  • 連続ミスの後
  • 疲労した状態

など、少しずつ試合に近い条件を加えます。

レベル4 実戦に近い状況で挑む

試合形式の中で、自分が決めた行動を実行します。

ここでの評価基準は、成功したかどうかではありません。

シュートの場合

「決めたか」ではなく、打つべき場面で、迷わず打てたか。

ディフェンスの場合

「抜かれなかったか」ではなく、怖さがあっても、一歩前へ出られたか。

声の場合

「チームが変わったか」ではなく、必要な場面で、自分から声を出せたか。

行動を選んだことを評価します。

トレーニング5:「失敗直後の再挑戦」

強さを育てるうえで、最も重要な練習の一つが、失敗後の再挑戦です。

多くの選手は、失敗すると同じプレーを避けます。

シュートを外した後、打たなくなる。

相手に抜かれた後、距離を取る。

パスに失敗した後、安全なパスだけを選ぶ。

これは、脳が同じ痛みを避けようとするためです。

そこで、練習では意図的に、失敗したプレーへ、できるだけ早く再挑戦する機会をつくります。

シュート

外した後、次のチャンスでも打つ。

1対1

抜かれた後、同じ相手へもう一度挑む。

パス

ミスをした後、次の場面でも必要なパスを選ぶ。

声が出なかったことに気づいたら、次のプレーですぐに声を出す。

失敗と逃避を結びつけるのではなく、失敗と再挑戦を結びつけることが目的です。

トレーニング6:「挑戦の成功条件」を変える

選手が挑戦を避ける大きな理由の一つは、成功条件が結果だけになっていることです。

シュートを決めなければ失敗。

相手を止めなければ失敗。

試合に勝たなければ失敗。

この評価では、挑戦するほど失敗の可能性が高まります。

そこで、fine式では成功条件を行動に変えます。

結果目標

シュートを決める。
相手を止める。
試合に勝つ。

行動目標

フリーなら迷わず打つ。
相手を見て一歩前へ出る。
ミスの後に守備へ戻る。
必要な場面で声を出す。
一度は自分から勝負する。

結果は完全にはコントロールできません。

しかし、自分がどの行動を選ぶかは、ある程度コントロールできます。

強さは、結果を支配する力ではなく、自分の行動を選ぶ力です。

トレーニング7:「予測」と「現実」を比較する

挑戦する前、人間の脳は悪い結果を予測します。

「失敗したら責められる」

「外したらチームに迷惑をかける」

「抜かれたら試合に出られなくなる」

この予測が、逃げる行動を生みます。

そこで、挑戦後に次の四つを振り返ります。

  1. 挑戦前、何が起きると思っていたか
  2. 実際には何が起きたか
  3. 怖さがあっても、何ができたか
  4. 次は何に挑むか

予測:シュートを外したら、みんなに責められると思った。
現実:外したが、すぐに守備へ戻れた。仲間も責めなかった。
できたこと:怖さがあってもシュートを打てた。
次の挑戦:次もフリーなら打つ。

この振り返りにより、「失敗したら終わり」という脳の予測を、

「失敗しても戻れる」

「失敗しても次がある」

という新しい学習へ変えていきます。

トレーニング8:「挑戦日誌」をつける

強さの成長は、勝敗や記録だけでは見えにくいものです。

そこで、「挑戦日誌」をつけます。

毎回、次の項目を記録します。

①今日、逃げたくなった場面

どのような場面で怖さや不安が生まれたか。

②身体のサイン

呼吸、足、視線、声、身体の力みなど。

③頭に浮かんだ言葉

「無理だ」

「失敗する」

「怒られる」

など。

④実際に選んだ行動

逃げた。

固まった。

一歩前へ出た。

シュートを打った。

声を出した。

⑤戻るために使った方法

呼吸。

戻る言葉。

身体的行動。

⑥もう一度挑めたか

はい・いいえだけではなく、何をしたかを書きます。

⑦次回の「一歩」

次に挑む小さな行動を一つ決めます。

挑戦日誌の目的は、反省会をすることではありません。

自分がどのように強くなっているかを可視化することです。

トレーニング9:試合前の「挑戦準備」

試合前には、不安を消そうとするのではなく、起こり得る反応をあらかじめ想定します。

次の四つを準備します。

①今日、ブレやすい場面

強い相手との対戦。

試合開始直後。

シュートを外した後。

指導者に注意された後。

終盤の接戦。

②自分に出るサイン

呼吸が浅くなる。

足が止まる。

声が出なくなる。

安全なプレーを選ぶ。

③戻るルーティン

息を吐く。

「次」と言う。

守備へ戻る。

④今日の挑戦行動

フリーなら打つ。

最初の1対1で前へ出る。

ミスの後、必ず声を出す。

自分からボールを要求する。

「今日は緊張しない」と決めるのではありません。

緊張したら、どう戻るかを決めておく。

これが試合前の準備です。

トレーニング10:試合中の「3秒リセット」

試合中にブレたときは、短い「3秒リセット」を行います。

1秒目 気づく

「今、逃げたい反応が出ている」と認識します。

2秒目 整える

息を吐き、足裏を感じます。

3秒目 選ぶ

「次にするべきこと」を一つ決め、すぐに動きます。

たとえば、

・気づく: 「ミスにとらわれている」

・整える:息を吐く。

・選ぶ: 「守備へ戻る」

複雑に考える必要はありません。

気づく・整える・動く

を短時間で行います。

トレーニング11:試合後の「事実振り返り」

試合後の振り返りでは、勝敗や感想だけで終わらせません。

次の順番で振り返ります。

①事実

何が起きたか。

②自分の反応

何を感じ、何を考えたか。

③選択した行動

逃げたか、挑んだか。

④戻れた場面

ブレた後、何によって戻れたか。

⑤修正点

次回は何を変えるか。

⑥次の挑戦

次にどの場面で一歩前へ出るか。

指導者は、「なぜできなかった」だけを問いません。

「どこで防御反応が出た?」

「身体に何が起きた?」

「どの瞬間に選び直せた?」

「次はどの行動に挑む?」

と問いかけます。

<指導者の関わり方>

強い選手を育てるためには、選手だけでなく、指導者の関わり方も重要です。

1.逃げを人格評価しない

「弱い」

「根性がない」

「逃げ癖がある」

と決めつけません。

逃げる反応が起きた後に、選び直す練習が必要な選手と捉えます。

2.結果だけでなく選択を評価する

シュートが外れても、打つべき場面で打てたことを評価します。

抜かれても、一歩前へ出たことを評価します。

失敗した後に、もう一度挑んだことを評価します。

3.怖さを言葉にできる環境をつくる

選手が、

「怖かった」

「逃げたくなった」

と言えることは、弱さではありません。

自分の状態を正確に認識できたという成長です。

4.挑戦の難易度を調整する

いきなり大きな挑戦を求めず、小さな成功体験を積ませます。

ただし、安全な状況だけで終わらせず、少しずつ実戦へ近づけます。

5.答えを与えすぎない

「次はどうすればよいと思う?」

「自分を戻すために何を使う?」

と問い、選手自身に考えさせます。

これが自立につながります。

fine式・4週間トレーニング例

第1週 気づく

テーマは「自分の逃げのサインを知る」です。

毎回の練習後に、

  • 身体
  • 思考
  • 行動

を記録します。

今週は、逃げたことを直そうとしなくても構いません。

まず、気づくことを目標にします。

第2週 戻る

テーマは「戻るルーティンを定着させる」です。

  • 呼吸
  • 戻る言葉
  • 戻る行動

を一つのセットとして繰り返します。

ミスの後に、すぐルーティンを実行します。

第3週 挑む

テーマは「小さな挑戦を選ぶ」です。

毎回の練習で一つ、挑戦行動を決めます。

  • フリーなら打つ
  • 一度は1対1を仕掛ける
  • 一歩前へ出る
  • 自分から声を出す

結果ではなく、行動を選んだかを評価します。

第4週 再挑戦する

テーマは「失敗後にもう一度挑む」です。

失敗したプレーを避けるのではなく、できるだけ早く再挑戦します。

練習後には、

「何に挑んだか」

「失敗後に戻れたか」

「もう一度挑めたか」

を振り返ります。

fine式「強さの評価項目」

選手の強さを、勝敗や精神論だけで評価しないために、次の項目を使用します。

各項目を1〜5で自己評価します。

1=ほとんどできなかった
2=あまりできなかった
3=一部できた
4=おおむねできた
5=安定してできた

気づく力

自分の情動や身体の変化に気づけた。

事実認識力

事実と自分の解釈を分けられた。

自律力

呼吸や言葉を使い、自分を整えられた。

修正力

うまくいかない行動を変えられた。

復帰力

ミスの後、次のプレーへ戻れた。

挑戦力

怖さがあっても、必要なプレーを選べた。

再挑戦力

失敗後に、もう一度同じ課題へ挑めた。

自走力

指示を待たず、自分で考えて行動できた。

評価の目的は、選手を順位づけすることではありません。

自分の成長と課題を知るために使用します。

まとめ

強さは、トレーニングによって育てられる

強い選手とは、怖くならない選手ではありません。

不安がない選手でもありません。

失敗しない選手でもありません。

強い選手とは、

自分の中で起きた防御反応に気づく。

怖さや不安を受け止める。

呼吸や姿勢、言葉で自分を整える。

するべき行動を選び直す。

失敗しても戻る。

そして、もう一度挑む。

これらを自分で行える選手です。

fine式「強い選手をつくるためのトレーニング」は、次の循環を身につけることを目的とします。

気づく→受け止める→整える→選び直す→挑む→失敗を受け止める→修正する→再び挑む

この循環を繰り返すことで、選手は少しずつ、自分の防御反応に支配されなくなります。

逃げたいという反応がなくなるわけではありません。

しかし、逃げたい反応が出ても、自分の行動を自分で選べるようになります。

それが、自律です。

そして、うまくいかなかった自分を修正し、もう一度前へ進むことができる。

それが、修正力です。

さらに、自分で考え、自分の意思で挑戦できる。

それが、自立です。

自立×自律×修正=自走する選手

強い選手は、指導者につくられるだけの存在ではありません。

指導者の支援を受けながら、自分自身を整え、自分自身を修正し、自分自身で強くなっていく選手です。

強さとは、逃げないことではない。

逃げたい自分に気づき、それでも一歩前へ出ること。

そして、何度でも挑み直せること。

その力は、生まれつきの性格だけで決まるものではありません。

日々の練習と振り返りによって、育てることができるのです。

 

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