2022年、今、部活動を考える（部活動地域移行に向けて）・・・その8　 家庭教育の充実・・・・①

指導者向けスポーツコーチング：今、部活動を考える・・・その8　 子育て：家庭教育の充実・・・・①

　中学校におけるスポーツ、そして文化的活動が学校内の部活動としての活動から地域への活動に移行することにより、学校現場、そして地域担当者がその対応に追われることになり、大変な思いをすることは間違いありません。その過渡期の中、子供たち（生徒）が困惑することだけは避けたいものです。

　ここで、考えていかなければならないのが、今後の学校との付き合い方が変わってくるということです。

　これまでは、「学校」と「家庭」だけだった関係に「地域」が加わることにより、さらに煩雑になってくると思われます。学校と家庭での関係さえも理解・協力が難しい状況にあったのに、そこに地域が加わることで、より関係が複雑化し始めるということになるのです。

　どういうことかといいますと、例えば、子供のことで困った時に連絡するところが学校だけだったのが、そうではなくなるということです。今までは「家→学校→家」という動線であったのが、「家→学校→各自」に変わります。細かい事を言いますと、「下校後の5時以降」は各自（フリー）になるのです。よって、5時以降は「学校責任」から「家庭責任」に切り替わる事を意味します。もちろん5時以降は勤務外になりますので、学校に電話しても留守番電話になり、翌日の8時までは繋がりません。担任や顧問についても個人情報等の電話番号はお伝えしませんので、放課後の問い合わせ先が学校ではなく、「警察」になる可能性が出てきます。「えっ！」と思われるかもしれませんが、地域の問題を統括する場は「警察」しかないからです。

　それども「そんなことはないのでは？！」という声が聞こえてきそうですが、間違いなくそうなります。働き方改革とはそういうものなのです。

　これまでも学校職員には残業手当というものは存在していません。今まで教員は昼夜問わず、ボランティア（使命感）で子供の対応や家庭の対応をしていたのです。生徒が家に帰ってこないという学校に連絡があれば心当たりを探しにいくし、スーパーから万引きしていますと学校に連絡が入ればスーパーに謝罪しに行くし、公園で騒いでいると学校に連絡がはいれば見回りに行くし、地域の祭りがあれ先生方は分担して巡回指導をするし、学校での授業だけではないのです。みなさん方の知らない先生方の業務事案はまだまだあります。

　今後は、上記したことが学校から切り離されていくことになります。全てが「家庭と地域」との関係に移行するということになります。部活動が学校から地域に移行するということは、こういうことなのです。今まで通りに保護者からの学校への甘えが効かなくなる時代になったということです。文句やクレームの矛先が学校だけではなくなるので、「どこに？」が不明（グレー）になってきます。

　ここで考えていただきたいのは、保護者の教育力の重要性です。

　これまでは、子供への責任を学校に押し付けることで解決させようとする考え方が通用しなくなります。ある意味、これまでは学校に対して問題を投じていたとしても、表立つことはありませんでしたが、今後は全て公的に扱われてくることになるということです。学校では「守秘義務」が徹底されていますが、地域住人（スポーツ指導員）には「守秘義務」が存在しません。”お守りください”のレベルだと思われます。また、これまで学校案件だったのが、警察案件になることも考えられます。そうなると、当然、子供の情報が公の場に出てくる可能性が大きくなります。万が一、その案件の情報操作が行われることになると、マスコミが騒ぎ立てることになります。

　以上のように、これまでは学校側が守ってくれたケース全てを保護者に対応を様られることが増えてくると思われます。「知らなかった」「わからない」「任せていた」が通用しなくなり、世間一般からの目も厳しくなる可能性が出てきます。

　その対応も含めて、保護者が今後身につけていかなければならない力（知識とスキル）を今後解説していきたいと思います。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その8　 家庭教育の充実・・・・①　終わり

シリーズ”部活動”トップ画面へ