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「具体と抽象」思考を活かしたコーチング

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「具体と抽象」思考を活かしたコーチング

「具体と抽象」思考を活かしたコーチング

2025/08/02

「具体と抽象」思考を活かしたコーチング

 〜パフォーマンス向上指導法〜

 

Podcastを聴きながらご覧ください。

https://youtu.be/t319f5sQdZI

 


(1) なぜ「具体と抽象」の思考が必要なのか?

◆ 理論のポイント

 現代スポーツでは、選手の身体能力や技術だけでなく、「考える力(思考力)」の重要性が高まっています。

 特に「具体的思考(How)」「抽象的思考(Why)」をバランスよく使いこなすことが、パフォーマンスの質や安定性、適応力に直結します。

◆ 現場での使い方

  • 【例1】練習の最初:「今日は〇〇をする理由は◯◯だからだ」と抽象→具体の流れで伝える
     
  • 【例2】試合前の指導:大きな目標(勝つ、守り切る)→各自が“今”やるべきことへと落とし込む
     

◆ 注意点

  • 抽象的すぎる話(例:「自信を持て」)だけでは選手は動けない
     
  • 具体的すぎる指示(例:「足を10度ひねれ」)は考える余地を奪い、イップスや過緊張の原因になる
     

◆ コーチングのヒント

  • コーチ自身が「なぜ?」と「どうする?」を常に行き来する思考回路を意識
     
  • チームミーティングでは「Why→How→Do」の順で伝えると理解・行動が深まる
     

 


(2) 「抽象的思考」とは:選手の視野を広げる力

◆ 理論のポイント

抽象思考とは、物事の背景や目的、本質をつかむ力。複雑な状況を単純化し、応用力や判断力を高めます。

◆ 現場での使い方

  • 【Whyで考える場面】

    「なぜこのフォーメーションを使うのか?」

    「このプレーがチーム全体にどう影響するのか?」
     
  • 【指導の工夫】

    練習前後に「この練習の狙いは何だと思う?」と問いかける
     

◆ 注意点

  • 抽象化しすぎると、選手が「それで結局どうすれば?」と迷いやすい
     
  • 話が理屈っぽくなると選手の集中力が途切れる可能性も
     

◆ コーチングのヒント

  • 抽象的問い(なぜ?目的は?)を投げた後、選手の答えを具体に変換して返すと理解が深まる
     
  • 選手の発言を要約して「つまりこういうことだね?」と本質を言語化してあげる
     

 


(3) 「具体的思考」とは:動ける選手を育てる力

◆ 理論のポイント

 具体思考は「どうやるか?」を考える力。行動計画を立てたり、動作を調整したりするときに不可欠なのです。

◆ 現場での使い方

  • 【Howで動く場面】

    「〇〇の時、ボールをどこに出す?」

    「次の1プレーで意識することは?」
     
  • 【指導の工夫】

    トレーニングメニューやポジション別の課題を“具体的に見せる”
     

◆ 注意点

  • 細かく指導しすぎると、選手の「動きの流れ」が乱れる(イップスの危険性あり)
     
  • 指導初期(初心者や新しい技術導入時)には具体指導が効果的だが、習熟度が上がるにつれて抽象イメージへの移行が必要
     

◆ コーチングのヒント

  • 「まずはやってみよう」→「動きを映像で見て考える」→「なぜできた/できなかったか考える」のステップをつくる
     
  • 経験者にはあえて「抽象的な感覚」で伝えてみる(例:「もっとリズムよく」「自然に」など)
     

 


(4) 「具体⇄抽象」の思考の往復が鍵

◆ 理論のポイント

「具体→抽象→具体」と思考を往復させることで、プレーの意味・背景を理解し、再現性のある行動へと変換できます。

◆ 実践例

ステップ

選手への関わり

コーチの役割

① 具体化

試合の映像を一緒に見て、ミスや成功を確認

「この場面、何が起きた?」と問いかける

② 抽象化

なぜそうなったのか、根本原因を考える

「それって他の場面でも起きてる?」とメタ視点を提示

③ 再具体化

対策を具体的な練習に落とし込む

「じゃあ次の練習ではどうする?」と行動提案

◆ コーチングのヒント

  • 練習→振り返り→改善策というサイクルを言語化し、習慣化させる
     
  • データや映像を活用して「事実(具体)」→「解釈(抽象)」→「行動(具体)」の流れを意識
     

 以下に、コーチが選手を指導する際に「具体⇄抽象」の思考を活用した事例を、場面別にまとめてご紹介します。

 それぞれの事例に「抽象(Why)→具体(How)」の往復があることで、選手の理解や行動がより深まり、再現性の高い指導につながります。

 


コーチのための「具体と抽象」指導事例集

指導場面

抽象的指導(Why)

具体的指導(How)

1. シュートフォーム改善

「シュートは“再現性”が命。だから、ブレない動作を身につけよう」

「肘の位置は肩のライン、リリースは目の前、手首は最後に返すように」

2. ディフェンスの強化

「守備とは“相手の自由を奪う”こと。だからスペースを管理しよう」

「相手との距離は1.5m以内、腰は低く、利き足側にプレッシャーをかける」

3. チーム戦術の理解

「この戦術の目的は、“全員が同じリズムで動くこと”だよ」

「サイドバックが上がったら、ボランチがスペースをカバーして」

4. ミスへの向き合い方

「ミスは“成長のきっかけ”なんだ。自分の癖を知るチャンスだよ」

「今のパスは、相手との距離感が近かったね。次は半歩下がってキープしよう」

5. やる気が見えない選手へ

「“内発的なやる気”は、自分の中にある“意味”を見つけた時に育つ」

「君はなぜサッカーをやってるの?そこから、何を目指すのか考えてみよう」

6. 試合の振り返り

「結果だけじゃなく、“なぜそうなったか”を一緒に考えよう」

「1点目は中盤のパスミスからだったよね。なぜあそこでパスを出したのか振り返ろう」

7. スランプ中の選手へ

「調子が悪い時こそ、“自分の型”を思い出して落ち着こう」

「シュートのリズムをいつもより丁寧に3カウントで確認してみよう」

8. 練習メニューの説明

「今日は“判断スピードを上げる”ためのメニューをやるよ」

「2対1の数的優位を作って、1秒以内にパスかドリブルか決めて動いてみよう」

9. ポジションの理解

「サイドハーフの役割は、“幅を取りながらタイミングを作る”こと」

「ボールが中央にあるときはタッチラインぎりぎりで幅を取って、味方の視野に入る位置に動こう」

10. 成長を実感させる

「努力って、“自分の変化を認識した時”に実感になる」

「2週間前と比べて、1タッチ目が前向きに出せてるよ。そこが成長してる証だよ」

 


🧠 解説:なぜこの往復が大事なのか?

  • 抽象だけでは「ふんわりしすぎて行動できない」
     
  • 具体だけでは「やらされ感」が強くなり、自分の意志で動けない
     
  • 抽象(Why)で目的や意味を伝え、具体(How)で行動に落とし込むことで、「納得感ある行動」になる
     

 


 コーチング実践Tips

  • 練習や試合の前後には「問いかけ」を使って抽象思考を引き出す

     例:「今日の練習のねらい、どうだった?」「なんでそう判断した?」
     
  • 指導中は、説明→実演→問いかけ→振り返りのサイクルを意識

     例:「この動きの意味、どう思う?」「やってみてどう感じた?」
     
  • 成長の過程では「抽象的な問い」を通して、選手自身が“自分の言葉”で語れるように支援する

 


(5) メンタルとチームづくりへの応用

◆ メンタル強化

  • 目標設定は「抽象(夢)」→「具体(行動)」に変換すると達成しやすい
     
  • 燃え尽きやイップスを防ぐには、思考の偏り(抽象ばかり/具体ばかり)に注意する
     

◆ チームづくり

  • チームのビジョン(抽象)をみんなで共有し、日々の行動(具体)につなげる
     
  • 試合中の意思疎通も、「抽象的な意図(展開を読む)」と「具体的な声かけ(右サイド空いてる)」の両方が大切
     

 


(6) 指導現場で活かすチャンクアップ・ダウン技術

◆ 用語解説

  • チャンクアップ:話や考えを「大きくまとめる」→目的や背景、全体像を考える
     
  • チャンクダウン:話や考えを「細かく分ける」→具体的な方法、行動に落とし込む
     

◆ コーチング場面での活用

  • チーム目標→ポジション別の役割→個人の課題へとチャンクダウン
     
  • 選手の発言に対して「それってどういう意味?」「もっと具体的に言うと?」と問いかけてあげる
     

 


(7) まとめ:選手の「考える力」が未来を切り拓く

「考えられる選手」=強い選手です。

 技術を教えるだけでなく、「考える力」を育てるコーチングこそ、これからの指導の中心になります。

 そのためには、コーチ自身が「具体と抽象の往復」を意識し、指導をデザインすることが必要です。

 


指導者へのメッセージ

  • 「この練習の意味は?」と選手に問い続ける勇気を
     
  • 「考え方」を教えることは、「自分で成長できる選手」を育てること
     

思考もトレーニングの一部である

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