fine lab.

やる気は出すものではなく、結果「出ているもの」

お問い合わせはこちら ご予約はこちら

やる気は出すものではなく、結果「出ているもの」

やる気は出すものではなく、結果「出ているもの」

2026/10/11

やる気は出すものではなく、結果「出ているもの」

―「やる気を出せ!」という常識を、脳の仕組みから考え直す ―

「もっと、やる気を出しなさい!」

「本当にやる気があるのか?」

「やる気さえあれば、できるはずだ!」

私たちは、子どもの頃から、このような言葉を何度も耳にしてきました。

学校でも、スポーツの現場でも、会社でも、「やる気」は人間の行動を支える大切なものとして扱われています。

もちろん、何かに意欲を持って取り組むことは素晴らしいことです。

しかし、ここで一つ、疑問があります。

そもそも、やる気とは、自分の意志で自由に「出す」ことができるものなのでしょうか。

「やる気を出そう」と思えば、いつでもやる気が出てくるのでしょうか。

そして、やる気が出なければ、人間は行動できないのでしょうか。

私は、ここに大きな思い込みがあると考えています。

fine理論では、やる気を無理に生み出すことよりも、やる気が生まれる人間の状態や仕組みに着目します。

今回、皆さんに提案したいのは、これまでの常識とは少し異なる考え方です。

「やる気は出すものではなく、結果として出ているもの」

この考え方から、人間の行動と成長について考えてみたいと思います。

 

1.「やる気が出たら行動する」は、本当なのか?

例えば、こんな経験はありませんか。

部屋の掃除をしなければいけない。

しかし、なかなか始められません。

「面倒くさいな」

「後でやろう」

そう思いながら時間が過ぎていきます。

ところが、いざ掃除を始めてみると、どうでしょうか。

机を片づけ、床を掃除し、気づけば部屋全体をきれいにしていた。

そんな経験をしたことがある人も多いと思います。

勉強でも同じです。

始める前は気が進まなかったのに、一問解いてみると、次の問題にも取り組めた。

運動でも、最初は身体が重かったのに、ウォーミングアップを始めると、自然に動けるようになった。

これは、何を意味しているのでしょうか。

少なくとも、やる気が十分に高まらなければ、行動できないわけではないということです。

むしろ、行動を始めたことによって、意欲や集中が高まっていく場合があるのです。

私たちは、長い間、

「やる気 → 行動」

という順序で考えてきました。

しかし、現実には、

「行動 → 手応え → 意欲 → 次の行動」

という流れも存在しています。

つまり、やる気と行動の関係は、一方通行ではないのです。

2.脳は「やる気スイッチ」で動いているわけではない

では、脳の中では何が起こっているのでしょうか。

人間が何かを始めようとするとき、脳では複数の働きが関係しています。

例えば、前頭前野は目標や計画、判断に関係しています。

大脳基底核などは、行動の選択や開始に関係しています。

また、ドーパミンは、報酬への期待や学習、努力を払うかどうかといった過程に関係しています。

しかし、ドーパミンが出れば必ずやる気が生まれる、というほど単純ではありません。

人間の意欲は、身体の状態、過去の経験、目標、期待、周囲の環境など、多くの要因から影響を受けています。

例えば、ある選手が練習中に素晴らしいプレーをしたとします。

すると、その選手は、

「今のプレーはよかった」

「もう一度やってみたい」

「次は、もっと上手くできるかもしれない」

と感じるかもしれません。

このとき、成功した経験や手応えが、次の行動への意欲を高めることがあります。

一方、失敗が続き、何を改善すればよいのかわからない状態では、取り組む意欲が下がることもあります。

ここで重要なのは、やる気を単独で考えないことです。

やる気は、人間の脳や身体、経験、環境、行動などが相互に関係する中で変化する心理状態なのです。

だからこそ、「やる気を出せ」という一言だけで、人間の行動が変わるとは限らないのです。

3.「やる気を出せ!」という指導には、何が足りないのか?

ここで、スポーツの指導場面を考えてみましょう。

ある選手が練習中にミスを繰り返しています。

指導者は、その選手に向かって言います。

「もっと、やる気を出せ!」

しかし、この言葉を受け取った選手は、何をすればよいのでしょうか。

声を大きく出せばよいのでしょうか。

速く走ればよいのでしょうか。

表情を変えればよいのでしょうか。

それとも、失敗しないように頑張ればよいのでしょうか。

実は、「やる気を出せ」という言葉には、具体的な行動の方法が示されていません。

さらに、指導者自身が「やる気がない」と判断した根拠にも注意が必要です。

例えば、

事実:練習中、選手が声を出していなかった。

解釈:この選手には、やる気がない。

これは、同じではありません。

選手は集中していたのかもしれません。

失敗を恐れていたのかもしれません。

疲れていたのかもしれません。

あるいは、何をすればよいのかわからなかったのかもしれません。

つまり、指導者が見ているのは選手の行動ですが、そこから選手の内面を推測しているのです。

fine理論では、ここに「事実と解釈」の問題があると考えます。

やる気がないように見えることと、本当に意欲が低下していることは、必ずしも一致しません。

だからこそ、必要なのは「もっとやる気を出せ」と叱ることだけではありません。

「今、何が難しいのか?」

「何がわからないのか?」

「次は、何を変えてみようか?」

と問いかけ、具体的な行動につなげていくことが重要なのです。

4.fine理論で考える「やる気」の正体

では、fine理論では「やる気」をどのように捉えるのでしょうか。

私は、やる気を人間の行動の唯一の出発点に置くべきではないと考えています。

むしろ、人間の内側で起こっているさまざまな働きの結果として、表れてくるものの一つだと捉えています。

人間は、何かを感じます。

そして、その出来事を、自分なりに解釈します。

その解釈によって、次に何をするかを考え、判断し、行動します。

さらに、行動した結果が、新しい経験となり、次の感情や思考に影響していきます。

例えば、練習で失敗した選手がいたとします。

その選手が、「自分には才能がない」と解釈すれば、次の挑戦に対する意欲が低下するかもしれません。

しかし、「今の失敗で、改善する場所がわかった」と解釈すれば、次の行動へつながる可能性があります。

ここで違っているのは、単純に「やる気があるか、ないか」ではありません。

出来事をどのように捉え、どのような行動につなげているかという点です。

fine理論が重視する「マインド」や「マインドセット」は、こうした捉え方や判断に関係しています。

そして、それらが行動や経験と結びつくことで、意欲の状態も変化していくと考えます。

ここで、一つの考え方が見えてきます。

やる気を変えようとする前に、やる気を生み出している状態や仕組みを見直す。

それが、fine理論的なアプローチなのです。

5.やる気がなくても行動できる人は、何が違うのか?

ここで、二人の社会人を想像してみてください。

Aさんは、仕事に対する気持ちが高まっている日は積極的に働きます。

しかし、気分が乗らない日は、なかなか仕事に取りかかれません。

一方、Bさんは、気分が乗らない日でも、必要な仕事を確認し、一つずつ進めていきます。

もちろん、Bさんにも気分の波はあります。

疲れる日もあれば、仕事をしたくない日もあるでしょう。

しかし、Bさんは、気分が乗らないことと、仕事を始めることを分けて考えることができます。

例えば、「今日は気分が乗らない。でも、まずは資料を一ページ確認しよう」と考えることができます。

ここに、大切な違いがあります。

Aさんは、やる気を行動の条件にしています。

Bさんは、今の自分の状態を受け止めながら、必要な行動を選択しています。

この違いは、fine理論が提唱する「社会力」とも関係します。

社会力とは、時間・場所・相手・状況が変化しても、自分に求められる行動を選択し、持っている力を安定して発揮していく力です。

つまり、社会力を育てるということは、常に高いやる気を維持することではありません。

やる気が高いときも、低いときも、自分の状態を理解し、必要な行動を選択できるようになることです。

ただし、心身の不調や過度な負担があるときには、休息や周囲の支援を選ぶことも、適切な自己管理の一つです。

やる気に頼らないことと、無理をして行動し続けることは、同じではありません。

6.「やる気を出す」から「やる気が生まれる仕組みをつくる」へ

では、私たちは、何を変えればよいのでしょうか。

私は、次の三つが重要だと考えています。

① 行動を小さく、具体的にする

「もっと頑張ろう」「やる気を出そう」

という目標では、何をすればよいのかが曖昧です。

それよりも、

「朝、机に座ったら教科書を一ページ読む」

「練習では、最初の五分間は足の動きを意識する」

「出勤したら、今日の優先順位を三つ確認する」

といった具体的な行動を決めることが重要です。

心理学には、「いつ、何をするか」を事前に決めておく実行意図という方法があります。

これは、行動を始めやすくするための研究に基づいた方法の一つです。

② 小さな手応えを確認する

行動を継続するためには、自分の変化や進歩に気づくことも大切です。

「昨日より、一問多く解けた」

「前回より、落ち着いてプレーできた」

「今日は、予定していた作業を一つ終えられた」

こうした小さな経験が、自分にもできるという感覚につながることがあります。

人間は、成果だけではなく、「自分が前に進んでいる」という手応えからも、次の行動への意欲を得ることがあるのです。

③ 自分の状態を整える

行動を始められないとき、必ずしも本人の意志が弱いわけではありません。

睡眠不足や疲労、不安、過度なストレスなどが影響している場合もあります。

だからこそ、行動できない自分を責める前に、

「今、自分はどのような状態なのか?」

「何が行動を妨げているのか?」

「今できることは何か?」

と問いかける必要があります。

fine理論では、自分を理解し、状態を整えることを大切にしています。

やる気を無理に引き出そうとするのではなく、行動しやすい状態をつくる。

その結果として、意欲が高まってくる場合もあるのです。

7.これからの指導者・管理職に求められること

私は、これからの教育や人材育成では、「やる気を出させる指導」から「自ら行動できる人を育てる指導」への転換が必要だと考えています。

例えば、子どもに、「もっと勉強する気を出しなさい!」と言う代わりに、

「まず、何から始めてみようか?」と問いかける。

選手に、「もっとやる気を見せろ!」と言う代わりに、

「次のプレーで、何を意識してみようか?」と問いかける。

社員に、「もっと仕事に対して意欲を持ちなさい!」と言う代わりに、

「今、仕事を進めるうえで、何が妨げになっていますか?」と問いかける。

この違いは、決して小さくありません。

前者は、相手の内面を変えることを要求しています。

一方、後者は、相手が自分の状態を理解し、具体的な行動を見つけることを支援しています。

人間のやる気を直接操作しようとするのではなく、人間が自ら考え、選択し、行動できるように支援する。

それが、これからの指導者や管理職に求められる役割の一つではないでしょうか。

8.本当に育てたいのは「やる気のある人」ではない

私たちは、長い間、「やる気のある人」を理想的な人間として評価してきました。

もちろん、意欲を持つことは大切です。

しかし、やる気は毎日同じではありません。

環境によっても、体調によっても、過去の経験によっても変化します。

そのような変動する心理状態だけに、自分の成長や成果を任せてしまってよいのでしょうか。

私は、そうは思いません。

・本当に育てたいのは、やる気が高いときだけ頑張れる人ではありません。

・気分が乗らないときでも、自分の状態を知ることができる人。

・思いどおりにいかないときでも、物事の捉え方を見直せる人。

・失敗しても、次に何をすればよいのかを考えられる人。

・そして、自分に必要な行動を、自分で選択できる人です。

これが、fine理論で考える「自走する人間」の姿です。

人間の成長を支えるのは、単なる一時的な感情の高まりだけではありません。

自分を理解し、自分で考え、自分で行動し、経験から学ぶ力なのです。

おわりに

やる気は「原因」だけではなく、「結果」でもある

最後に、もう一度お伝えしたいと思います。

やる気は、無理に出そうとするものではありません。

やる気は、何かを理解したとき、目標に意味を感じたとき、行動して手応えを得たときなどに、自然と高まってくる場合があります。

もちろん、最初から強いやる気を持って行動することもあります。

大切なのは、「やる気が出ないと行動できない」という思い込みに縛られないことです。

やる気を出そうとする前に、自分の状態を理解する。

やる気を待つ前に、できることから始めてみる。

やる気を人に要求する前に、その人が行動しやすい環境を整える。

そして、小さな行動や経験を積み重ねる。

その結果として、気づけば意欲が高まり、自然と次の行動に向かっている自分に出会うかもしれません。

やる気は出すものではなく、結果として「出ているもの」。

この言葉は、意欲のすべてを説明する科学的な法則ではありません。

しかし、やる気を行動の絶対条件とする常識から抜け出すための、大切な考え方だと思います。

「やる気を出せ!」から、「行動できる状態をつくろう!」へ。

人間を気合いや根性で動かそうとするのではなく、人間の仕組みを理解し、自ら動ける人を育てる。

それが、fine lab.の目指す人材育成です。

人間は、やる気があるから成長するだけではありません。成長を実感するからこそ、次の意欲が生まれることもあるのです。

 

fine lab.は「人と組織の未来を開く研究所」

「大人が変われば、組織も社会も変わる」fine lab.代表 森 億

 

----------------------------------------------------------------------
fine lab.
〒886-0004
宮崎県小林市細野105-1 KBODYビル3F
電話番号 : 080-3979-0959
mile:info@fine-lab.jp


オンライン対応の企業セミナー

人材育成のオンラインプログラム

オンラインでスポーツ能力向上へ

子育てのオンラインスクール

オンライン形式で個別に対応

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。